絡新婦の爪先

いちばん書きやすいところにあった日記のようなもの。

ジョロウグモ

昨日はジョロウグモがせっせと糸を紡いで巣を作っていた。 秋の空の女王。 身近でいちばん美しい蜘蛛、だと僕は思っている。 ジョロウグモの巣は、いわゆる平面的で円形に放射した形の網だけではなく、いろいろ特殊な部分が入り組んでいて、少し複雑なドーム…

「価値」をさげよう

日本人の価値観、美しい心、和を以て貴しとなす規範、何よりも「努力すれば成功する」などと、無責任にも結び付けられてあたかも意味や価値を備えたかのような言葉の意味や価値を破砕しましょう。 企業競争の末に手に入る「新しいもの」でわれわれは幸せにな…

『きのこ漫画名作選』 感想② ~「キノコってちょっとドキドキするけど」~

tokkannnonikki.hatenablog.com これの続きである。 今回感想を書くラインナップは以下の三作品。()内はアンソロ収録前の出典。 ・つげ義春「初茸がり」(『ねじ式 異色傑作選1』) ・長崎訓子「夢野久作 きのこ会議」(『Ebony and Irony 短編漫画集』)…

『きのこ漫画名作選』 感想① ~「漫画はきのこである。あるいはきのこは漫画である」~

今日は、あるいは今日から、 飯沢耕太郎編『きのこ漫画名作選』Pヴァイン、東京、2016. の感想を書いていこうと思う。 この漫画本は、「きのこ」にまつわり、「きのこ」を描いた日本の「きのこ」漫画作品を集めたアンソロジーである。 所収作品は以下の通り…

日記を書く暇もない

心にゆとりがほしい。 ゆとりという言葉になんとなく「悪」や「恥」や「劣」の属性が附与された、 よーに思える現代。 自分だけはこのケガレを身に負うてははなるまいぞ、 と悲しくも決意してしまった人びとは焦り、 そのほかには特にワケもなく焦り、焦るた…

白内障

白内障と診断されました。 さしあたっては、左目です。 びっくりだ。まだ二十代ですよ、こちとら。 なんか世界が霧がかっているなー、全体が見えにくいなーと思い、 耐えきれず眼科を受診したらば、案の定。 ネットで調べて、もしかしたら、そうなのか……? …

今日の自己満足

月がきれいですね。 あなたの顔よりは。 今日は自己満足につながる行いをした。 寄付。 恵まれない子供たちに向けた寄付。 アジアの子供たちに向けて。 フィリピン人といった女が声をかけてきた。 署名をして寄付をくださいと言われた。 署名をして寄付をし…

人口墓場の墓碑銘を消しゴムで消す

国立社会保障・人口問題研究所 のHPを見て。 そこにあった、人口ピラミッドの推移が写されているアニメーション。 ピラミッドから壺型へ、壺型から段々と全体が細くなって……消えてしまう(というところまではいかないけれども)、流れを、140年もの時の…

煩悩の犬は追えども去らず

燃え上がって、燃え尽きて、灰になって、風が吹いて、暗闇に吸い込まれて、消え入ってしまうものがみたい。 掌の中で、崩れて、砂になって、零れて、おちていくものがみたい。 最期の一滴が、弱弱しく震え、乾き、周りの空気とおなじになるものがみたい。 も…

どうでもいいんだが、どうでもよくはない。

慰め、 責任、 未来、 声。 明日、 働く、 苦しみ、 別れ。 無意味、 眠り、 傘、 黒。

逃げない獲物は捕まえやすい

飛び込んできたものを逃がさないことが肝要だ。 動きを縛る糸に絡みつかせてしまうのがいい。 もがけばもがくほどにそのあがきが無駄となり、 次第にもがくことすらもできなくなる。 糸とその身が奇しくも結ばれ合い、あたかも元から同じ一つであったかのよ…

しょうゆ

机の上に醤油を置いたら、 醤油の臭いがする。 窓から流れてきた風が、 塩っぱい香りを追いやってくる。 醤油の隣には無臭の殺虫剤、 害虫を凍らせて駆除する。 振れば出が良くなるものだ。 カラカラカラ、と音がする。 一番手前にたっぷり血袋。 赤錆の臭い…

食虫植物と蝙蝠との出逢いの写真について

世界報道写真展で見た、一番心に残った写真は、 ウツボカズラに似た食虫植物のひと房(捕虫袋)と、一匹の翼を広げて飛ぶコウモリがフレームの中に捉えられた作品である。 この種のコウモリは、食虫植物の捕虫袋の中を寝床にするらしく、 この写真では今まさ…

~について

罪の価は死である。 キリストの死によって、罪びとの罪は贖われることとなった。 原罪、死すべき定めを備えて生まれ落ちた命。 生命には死の可能性が内包されている。 生命を生かすためには他の生命の犠牲が必要である。 時代は不幸なしに越えることはできな…

吶喊は、乾いた荒野にて。

話す言葉も、謡いあげる詩もなく、書き連ねる文字もまたない。 森の奥深くで誰にも知られずに滴った水のように 戦場で突撃する兵の叫び声のように。 聞くものも、見るものもないままに。 書いたそばから消してしまおう。 話したその瞬間に忘れてしまおう。 …